「モモ」とファシリテーション
先日、ご依頼をいただき、自治体関係職員向けにファシリテーション研修を実施しました。
これまでの経験を活かしながら構成しましたが、少し盛り込みすぎたかもしれません。
それでも、自分自身がファシリテーションについてじっくり考える貴重な時間になりました。
最近、息子の寝かしつけの時間に、ミヒャエル・エンデ著『モモ』を読み聞かせしています。
(理解出来ているかどうかはわかりません。笑)
言わずと知れた名作ですが、改めて読むと、ファシリテーションに通じる要素が多くあることに気づかされます。
主人公・モモの特技は「傾聴」です。
モモは、人の声に耳を傾けます。
そして、彼女が何かを“する”わけでもないのに、話した人たちは次第に自分の中で答えを見つけ、問題が解決していきます。
まさにファシリテーターの姿そのものです。
ただし、この傾聴には時間がかかります。
(しばしばファシリテーションやワークショップのデメリットで言われる点と重なります。)
モモの世界では、その「時間」を奪う存在として“時間泥棒”が登場します。
人が効率や成果を求めすぎるあまり、大切な対話の時間を手放していく。
この構図は、現代の私たちにも重なります。
ファシリテーションとは、意見を引き出し、整理し、まとめていく技術であると同時に、
“人が考える時間”を支える営みでもあるのだと思います。
モモのように相手の声に耳を傾けること。
そして、その沈黙を恐れず、時間を共にすること。
それが本来のファシリテーターの姿なのかもしれません。


