バルセロナ石彫修行
高校時代に読んだ1冊の本
サクラダファミリアで日本人初の主任彫刻家になった外尾悦郎さんの著書「バルセロナ石彫修行」を先日読了。高校時代に建築学科受験のために入部してたときに顧問の先生から読むように進められた本で、青少年読書感想文全国コンクール高等学校の部の課題図書にも選定されています。
読み返すと高校生の課題図書とは思えないくらい政治や宗教の話が出ていますが、当時はガウディの造形美に圧倒されたことしか覚えていません。
「へぇ、こんな珍妙な建築が世の中にはあるのか」といった具合に。笑
当時の知識で考えると10%も理解していなかったと思いますが、今読んでみると印象は随分違って読めました。
当時は建築学科に入りたい一心でガウディの知識を得ようと必死になっていたけれど、本来この本はガウディ建築を舞台にした人間模様が魅力だったのではと改めて思いました。
外尾さんの視点が面白いというのは前提ですが、スペインの技術者集団それぞれのキャラやそこで繰り広げられる数々のエピソード。そこが面白い。
最近の建築を見ると巨大な建築が大手ゼネコン等の手によって短期間で作られていったりするけれど、スピード感が求められて、どんな人がつくっていたか、どんなエピソードがあったかとかが見えてこない。
心の豊かさを満たすのに必要なもの
先日参加したセミナーでも話題として上がっていたのですが、今はモノの豊かさより心の豊かさが重視される時代。建築現場でのエピソードなんかは、心の豊かさを満たすのには必要な要素な気もする。
スピード重視な今だからこそ、ゆっくりとした進みで作られていくサクラダファミリアでおこる数々のエピソードは、その巨大な建築の価値を高めていくのではないだろうかと思います。
DIYでつくる建築も、いろんな問題は抱えながらも、そういった意味では肯定的に捉えられるなぁと。
大学院時代から考えていることでもあるけれど、やはり建築はコミュニティのためにあるべきだと思います。
その上で、建築のプロセスはもう少しデザインされるべきなんだろうなとも思いました。
30年以上も前に出版された本を呼んでそんなことを考えさせられました。


